「こどもNISA」は結局いくら非課税で積み立てられる?旧ジュニアNISAとの違いを一次資料で検証

こどもNISAをテーマにした記事のアイキャッチ画像。黄色パーカーを着たチビキャラ風の男の子が、大きなガラス製の貯金箱にコインを入れている。貯金箱には「こどもNISA」と書かれた木製の下げ札がかかっており、貯金箱の中ほどには「上限600万円」と書かれた赤いラインが引かれている。背景には小さな苗木とやや育った若木が並び、0歳から17歳までの成長を象徴している。 NISA

「年60万円×18年で1,080万円」は本当か

2026年度の税制改正で、NISAの「つみたて投資枠」の年齢要件が撤廃され、0〜17歳の子どもでも専用の非課税投資枠が持てるようになることが決まりました。いわゆる「こどもNISA」です。2027年1月から始まる見込みで、SNSやニュースでも「子どもの学費をNISAで準備できる」と話題になっています。

年間投資枠は60万円。「0歳から17歳まで18年間、毎年満額を積み立てれば60万円×18年=1,080万円も非課税で運用できるのか」と考えた方もいるのではないでしょうか。筆者自身も最初はそう捉えていました。

しかし、制度の一次資料を読み込むと、この単純計算は成り立たないことが分かります。年間投資枠とは別に「非課税保有限度額」という総枠があり、その金額は600万円。年間投資枠の18年分よりずっと小さいのです。この記事では、金融庁の一次資料をもとに制度の実際の姿を確認し、「毎年満額を拠出し続けるとどうなるか」をシミュレーションで検証します。あわせて、2023年末で廃止された旧ジュニアNISAとの違いも整理します。

データの出典

本記事の制度内容は、以下の一次資料に基づいています。

  • 出典:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」(2025年12月公表)
  • 旧ジュニアNISAの制度概要:財務省「ジュニアNISA制度の概要」
  • 取得日:2026年8月22日
  • URL:https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf(金融庁)/https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/jrnisa.htm(財務省)

こどもNISA、制度の中身を確認する

金融庁の資料によれば、今回の改正の柱は「つみたて投資枠の年齢要件の撤廃」です。これまで18歳以上に限られていたつみたて投資枠に、0〜17歳向けの区分が新設されます。

項目0〜17歳(新設)18歳以上・つみたて投資枠18歳以上・成長投資枠
年間投資枠60万円120万円240万円
非課税保有限度額600万円1,800万円(成人枠に自動的に移行・内数)1,800万円のうち1,200万円まで
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託同左上場株式・投資信託等
払出し制限12歳以降、子の同意を得た場合のみ親権者等による払出しが可能制限なし制限なし
施行時期令和9年(2027年)〜

18歳になった時点で、0〜17歳枠で保有していた資産は自動的に成人の非課税枠(1,800万円)に引き継がれます。制度としては、子ども専用の「助走枠」を新たに用意し、成人後にそのままバトンタッチする設計といえます。

「1,080万円」ではなく「600万円」が上限になる理由

ここで注目したいのが、年間投資枠60万円と非課税保有限度額600万円の関係です。単純に「60万円×18年」を計算すると1,080万円になりますが、実際に非課税で保有できる上限は600万円までと決まっています。

600万円 ÷ 60万円 = 10年。つまり、0歳から毎年上限まで拠出し続けた場合、9歳の年(10年目の拠出)でちょうど非課税保有限度額に到達し、それ以降は新規の拠出ができなくなります。10歳から17歳までの8年間は、投資信託の値上がりによる運用は続けられますが、追加で非課税枠にお金を入れることはできません。

こどもNISAの累積拠出額と資産評価額シミュレーション

上のグラフの上段は、毎年60万円を拠出し続けた場合の累積拠出額(元本)の推移です。9歳で600万円に到達し、以降はフラットになっています。下段は、その拠出スケジュールを前提に、想定利回り3%・5%・7%のシナリオで17歳時点の資産評価額を試算したものです(拠出は年始、評価は年末時点、税・手数料は考慮していません)。

想定利回り17歳時点の資産評価額拠出元本(600万円)に対する運用益
年率3%897万円297万円
年率5%1,171万円571万円
年率7%1,524万円924万円

「毎年満額を積み立て続ける」ことは、実際には10年間しかできません。それでも、非課税のまま運用を続けられる期間が長い(0歳スタートなら成人後もそのまま非課税で持ち続けられる)ため、運用益そのものは決して小さくない、というのがこのシミュレーションから見える実態です。

旧ジュニアNISAとの違い

こどもNISAには前身にあたる制度がありました。2016年に始まり、2023年末で廃止された「ジュニアNISA」です。使い勝手の悪さが敬遠され、普及が伸び悩んだまま終了した経緯があります。財務省の資料をもとに、新旧の制度を比較してみます。

項目旧ジュニアNISA(2023年末廃止)新・こどもNISA(2027年〜)
対象年齢18歳未満0〜17歳
年間投資枠80万円60万円
非課税保有限度額(総額)最大400万円(80万円×5年)600万円
非課税期間原則5年間(口座開設期間終了後は20歳まで保有可)制度としては期間の定めなし(成人後は成人枠に自動移行し継続)
払出し制限18歳に達する年の前年12月31日まで原則不可。違反時は過去の配当・譲渡益・含み益に遡って課税12歳以降、子の同意を得た場合のみ親権者等による払出しが可能

見ての通り、年間投資枠自体は80万円から60万円に下がっています。それでも非課税保有限度額の総額は400万円から600万円に増えているのは、非課税で保有し続けられる期間の設計が変わったためです。旧制度は「5年間」という時限的な非課税期間があり、期限が来ると強制的に課税口座へ移されるか、20歳までのロールオーバーという手続きが必要でした。新制度では、そうした期限そのものが制度上なくなり、成人後の非課税枠へそのまま引き継がれる設計になっています。

払出し制限も大きく緩和されました。旧制度は「18歳になるまでは原則引き出せず、途中で引き出すと過去の運用益まで遡って課税される」という、教育費など急な出費に対応しづらい仕組みでした。この使い勝手の悪さが、旧ジュニアNISAが広がらなかった要因の一つとされています。新制度では、12歳以降であれば子どもの同意を得ることを条件に払出しが可能になり、硬直性が緩和されています。

まとめ:読者の状況別に考える

  • これから子どもが生まれる・まだ0〜2歳の子がいる家庭:毎年満額を拠出できれば9歳で非課税保有限度額に到達する計算になります。無理に毎年60万円を目指す必要はなく、家計に無理のない範囲でよいと考えます
  • すでに10歳前後の子がいる家庭:制度開始が2027年のため、拠出できる期間はその分短くなります。上限までの拠出年数を逆算した上で、無理のない金額を検討するとよさそうです
  • 複数の子がいる家庭:非課税保有限度額600万円は子ども1人あたりの枠です。人数分の資金計画が必要になる点は、事前に把握しておく価値があります
  • 旧ジュニアNISAをすでに保有している家庭:旧制度で保有していた資産は、新しいこどもNISAの枠とは別枠で20歳まで非課税のまま保有を続けられます。新旧の枠を混同しないよう注意が必要です

免責事項

本記事は2026年8月22日時点で公表されている税制改正大綱の情報に基づいています。今後の国会審議や政省令の制定により、内容が変更される可能性があります。記事内のシミュレーションは特定の前提条件(想定利回り・拠出スケジュールなど)に基づく試算であり、将来の制度内容や運用成果を保証するものではありません。実際の口座開設・資産設計にあたっては、最新の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。本記事は特定の金融商品・サービスを推奨するものではありません。

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