S&P500が2026年だけで27回最高値更新、「もう遅い」は本当か?1957年からの積立データで検証した
「S&P500が史上最高値を更新」——2026年に入って、こうしたニュースを何度も目にした方は多いのではないでしょうか。実際に調べてみると、2026年は終値ベースで27回も最高値を更新しており、直近も高値圏で推移しています。
そのたびに、こう感じたことはありませんか。「もうこんなに上がってしまったなら、今から積立を始めても遅いのでは」「一旦積立を止めて、下がってから買い直した方がいいのでは」。この記事では、その感覚が過去データと照らして妥当なのかを、S&P500の実際の値動きを使って検証します。
データの出典
本記事のデータは、以下の一次データを直接取得・集計して作成しています。
- データソース:Yahoo Finance(yfinanceライブラリ経由)、ティッカー「^GSPC」(S&P500種指数)
- 取得日:2026年8月29日
- 集計期間:1957年3月〜2026年8月28日(S&P500が現行の500銘柄構成になって以降の全期間)
- 注記:本記事の数値はすべて配当再投資を含まない価格指数ベースの名目値です。実際に投資信託・ETFで運用した場合は、配当再投資や信託報酬・為替の影響で数値が変わります。また、過去のデータに基づく検証であり、将来の値動きを保証するものではありません
2026年の最高値更新ラッシュの実態
まず、2026年にS&P500がどう動いてきたかを確認します。

2026年は年初から8月28日までの165営業日のうち、27日が終値ベースの史上最高値でした。3月から4月にかけては年初来高値から-9.4%まで下落する場面もありましたが、4月半ば以降に切り返し、5月から6月にかけて断続的に最高値を更新。8月に入ってからも8月4日・7日・13日と3回続けて最高値を更新し、8月13日の終値7,798.99ptが2026年の最高値となっています。直近の8月28日終値は7,711.76ptで、最高値からは-1.12%の位置にあります。
下段のグラフを見ると、最高値を更新した後も大きく崩れることなく、数%以内の下落にとどまって再び高値圏に戻る、という動きを繰り返していることが分かります。「最高値更新=その後の暴落の予兆」というわけではなく、上昇トレンドの過程でこうした更新が連続することは、実は珍しい現象ではありません。
一括投資での過去データ検証:最高値更新日に買うと本当に不利なのか
次に、視点を広げます。「たまたま最高値を更新した日に一括投資した場合」と「それ以外の任意の日に一括投資した場合」で、その後のリターンに違いがあるのかを、1957年3月〜2026年8月の全期間(17,491営業日、うち最高値更新日1,324日)で検証しました。
| 保有期間 | 最高値更新日にスタート | 任意の日にスタート |
|---|---|---|
| 1年後 | 平均+7.7%/中央値+9.0%/プラス確率70.7%(n=1,277) | 平均+8.9%/中央値+10.4%/プラス確率74.3%(n=17,239) |
| 3年後 | 平均+28.8%/中央値+25.4%/プラス確率88.2%(n=1,201) | 平均+27.6%/中央値+27.8%/プラス確率84.1%(n=16,735) |
| 5年後 | 平均+51.0%/中央値+48.1%/プラス確率84.7%(n=1,179) | 平均+49.4%/中央値+49.9%/プラス確率82.4%(n=16,231) |
| 10年後 | 平均+97.6%/中央値+98.6%/プラス確率87.3%(n=973) | 平均+118.6%/中央値+109.0%/プラス確率92.3%(n=14,971) |
(n=各条件に該当する検証サンプル数。保有期間の終点まで元のデータが存在するケースのみを集計しています)
結果を見ると、1年後・10年後は「任意の日」の方がやや優位ですが、3年後・5年後は「最高値更新日」の方が平均・中央値ともにわずかに上回っています。総じて言えるのは、最高値更新日にスタートしたからといって、その後のリターンが任意の日と比べて大きく劣るわけではない、ということです。10年後だけは差が目立ちますが(+97.6% vs +118.6%)、それでもプラス確率は87.3%と高水準を維持しています。
「最高値=割高で危険」という直感は自然なものですが、少なくとも過去のデータを見る限り、最高値更新日を狙って避ける戦略に明確な優位性は確認できませんでした。
積立(ドルコスト平均法)シミュレーション:最高値更新月に積立を始めたらどうなったか
一括投資だけでなく、本ブログが基本とする「積立」の観点でも検証します。毎月一定額をS&P500に積み立てる場合、その開始月が「最高値を更新した月」だったケースと「任意の月」だったケースで、その後の年率換算リターンに違いが出るのかをシミュレーションしました。
シミュレーション条件:1957年3月〜2026年8月の月次データを使用し、各月の最初の営業日を投資実行日として毎月一定額を積み立てたと仮定。開始月を1か月ずつずらしながら、3年後・5年後・10年後に積立を終了して全額売却した場合の年率換算リターン(内部収益率)を算出しました。「最高値更新月」は、その月中に1日でも終値ベースの史上最高値を記録した月と定義しています(該当月は全834か月中261か月)。

| 積立期間 | 最高値更新月にスタート | 任意の月にスタート |
|---|---|---|
| 3年後 | 年率+9.1%(中央値)/プラス確率85.7%(n=238) | 年率+9.3%(中央値)/プラス確率84.2%(n=798) |
| 5年後 | 年率+9.6%(中央値)/プラス確率87.6%(n=233) | 年率+8.5%(中央値)/プラス確率86.8%(n=774) |
| 10年後 | 年率+5.8%(中央値)/プラス確率85.8%(n=197) | 年率+8.1%(中央値)/プラス確率92.6%(n=714) |
(n=各条件に該当する開始月の数。積立終了までデータが存在するケースのみを集計しています)
積立の場合、3年後・5年後は最高値更新月にスタートしても任意の月と遜色ない結果(5年後はむしろ最高値更新月スタートの方が高い)でした。一方、10年後だけは最高値更新月スタートの年率リターンがやや低め(+5.8% vs +8.1%)で、プラス確率も85.8%と、任意の月(92.6%)よりは低くなっています。これは一括投資の10年後の結果とも整合的な傾向です。
とはいえ、どの期間・どの開始条件でも、プラス確率は85%を下回っていません。「最高値更新月に積立を始めたら高確率で損をする」という結果にはなっておらず、むしろ3年後・5年後は任意の月とほぼ変わらない、あるいはやや上回る結果でした。積立は毎月の購入価格を平均化する仕組みであるため、一時点の「高値づかみ」の影響がそもそも一括投資より薄まりやすい、という積立の特性が表れているとも考えられます。
まとめ:読者の状況別に考える
- これから積立を始めようか迷っている人:過去データを見る限り、「最高値更新のニュースが出ている」こと自体は、積立開始を見送る決定的な理由にはならないと考えられます。長期・積立・分散という基本方針に沿うなら、最高値かどうかを気にしすぎず、淡々と始めることも一つの選択です
- すでに積立中で、最高値更新のたびに継続を迷っている人:今回の検証では、最高値更新月を含めても積立を継続したケースの多くがプラスで終えています。感情的に一時停止・再開を繰り返すより、当初決めたルール通りに継続する方が、過去データとは整合的です
- 一括投資のタイミングを計りたい人:一括投資についても、最高値更新日を避ける明確な優位性は確認できませんでした。ただし10年という長期で見ると平均リターンに差が出る場面もあるため、一括投資特有のタイミングリスクは積立よりも意識しておく価値があります
なお、本記事は2026年8月時点の直近相場(年初来+12.65%、高値圏での推移)を前提とした検証です。相場の位置づけは今後変わりうるため、定期的にデータを見直す視点も持っておくとよいと考えます。

免責事項
本記事のデータはYahoo Finance(yfinance経由、2026年8月29日取得)のS&P500種指数(^GSPC)の終値をもとに、配当再投資を含まない価格指数ベースで独自に集計・シミュレーションしたものです。実際の投資信託・ETFのリターンとは、配当再投資・信託報酬・為替変動等により異なります。過去のデータに基づく検証結果であり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。本記事は特定の金融商品・投資タイミングを推奨するものではなく、投資判断は読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。


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