住宅ローン変動金利、利上げでいくら増える?「元金均等には5年ルールがない」という事実を自分のローンで試算してみた

利上げによる住宅ローン返済額の増加を心配そうな表情で見つめながら、一軒家の前に立つ黄色いパーカーの男の子のイラスト 家計管理

はじめに:自分のローンを見直していて気づいたこと

前回の記事で、日銀の利上げが住宅ローンにどう波及するかを整理しました。そこで「5年ルール」「125%ルール」という、変動金利の急激な負担増を防ぐ仕組みに触れたのですが、自分自身のローン契約を確認していて、見落としていた事実に気づきました。

5年ルール・125%ルールは、元利均等返済にしか適用されない仕組みで、筆者が選んでいる元金均等返済にはそもそも存在しない。

つまり、私自身のローンには「返済額が急に増えない」という緩和措置がなく、金利が見直されるたびに、返済額が直接的に変動することになります。これは決してネガティブな話だけではなく(後述しますが、トータルで見ると有利な面もあります)、まずは自分の借入条件を使って、実際にいくら変わるのかを試算してみようと思います。

なお本記事の試算は、筆者個人の借入条件をベースにした独自シミュレーションです。借入額や金利は実際の契約に基づいていますが、将来の金利見通しの部分はあくまで現時点でのエコノミスト予測であり、確定した数値ではありません。同じ変動金利でも、金融機関や契約内容によって条件は異なりますので、ご自身のケースに当てはめる際は契約内容を必ずご確認ください。


この記事で使用したデータ・前提条件

  • 筆者の借入条件(後述)
  • 5年ルール・125%ルールの仕組み:三菱UFJ銀行、多摩信用金庫、モゲチェック等の解説ページ
  • 金利シナリオ:前回記事と同じ、野村證券ウェルスタイル(森田京平氏、2026年1月時点の見通し)、第一生命経済研究所(熊野英生氏)の見通し
  • 情報取得日:2026年6月20日

筆者の借入条件

項目内容
当初借入額3,800万円
適用金利(現在)0.834%(変動金利)
返済方式元金均等返済
返済期間26年(312回)
最終返済期日2051年10月27日
ボーナス返済なし

以降のシミュレーションはこの前提に基づいています。


元利均等 vs 元金均等のおさらい

住宅ローンの返済方式には大きく2種類あります。

元利均等返済:毎月の返済額(元金+利息の合計)が一定になるように設計された方式。返済計画が立てやすい一方、返済初期は利息の占める割合が大きく、元金の減りが遅いという特徴があります。

元金均等返済:毎月の元金返済額が一定になる方式。利息は残高に比例するため、返済初期の返済額が最も大きく、徐々に減っていきます。元金の減りが元利均等より早いため、同じ金利・期間であれば総返済額(総利息)は元金均等の方が少なくなる、というのが一般的な特徴です。

筆者は元金均等を選んでいるので、毎月の元金返済額は借入期間を通じて一定です。

月々の元金返済額:3,800万円 ÷ 312回 = 121,795円(一定)


見落とされがちな事実:5年ルール・125%ルールは元利均等限定

各金融機関の説明を確認したところ、以下のことが明記されていました。

変動金利かつ元利均等返済でお借り入れの場合、5年ルール・125%ルールがあります。元金均等返済でお借り入れの場合は、5年ルール・125%ルールはありません。

つまり元金均等返済の場合、金利が見直されるたびに、返済額はそのまま変動します。5年間は返済額が変わらないという「緩和措置」も、その代わりに発生する「未払利息」のリスクも、どちらも存在しません。

これは見方を変えると、「リアルタイムで負担が変わる代わりに、先送りによる利息の積み増しが発生しない」ということでもあります。この点は後半のシミュレーションで具体的に検証します。


シミュレーション:自分の条件で試算してみる

前回記事と同じ3つの金利シナリオを使い、筆者の借入条件(元金均等)で月々の返済額がどう変化するかを試算しました。なお、基準金利の改定が実際の返済額に反映されるタイミングは金融機関により異なりますが、本シミュレーションでは「日銀の利上げから半年後の見直し(4月・10月)で反映される」という一般的なケースを仮定しています。

シナリオ内容
①据え置き2026年6月の利上げ(確定)のみ反映。以降の追加利上げなし
②第一生命シナリオ①に加え、2026年12月の追加利上げを反映
③野村證券シナリオ②に加え、2027年6月の追加利上げを反映

試算結果:月々の返済額の推移

時期①据え置き②第一生命③野村證券
2025年11月(初回)148,205円148,205円148,205円
2026年9月(現状)147,358円147,358円147,358円
2026年10月〜154,911円154,911円154,911円
2027年4月〜154,911円161,736円161,736円
2027年10月〜154,361円161,060円168,257円

※元金均等のため、金利が変わらない期間は残高の減少にともなって返済額がわずかに減っていきます。利上げのタイミングでその分が打ち消され、再び増加します。

試算結果:総利息(生涯・26年間)

シナリオ総利息
①据え置き5,286,436円
②第一生命シナリオ6,394,261円
③野村證券シナリオ7,457,556円

野村證券シナリオが実現した場合、据え置きシナリオと比べて総利息は約217万円増える計算になります。これが、元金均等返済における「利上げの直接的なコスト」です。


もし元利均等+5年ルールだったら、どうなっていたか

ここからが本記事の核心です。「自分が元利均等+5年ルールを選んでいたら、トータルでは得だったのか、損だったのか」を、同じ野村證券シナリオで試算しました。

項目元金均等(実際)元利均等+5年ルール(仮定)
初回返済額148,205円135,519円
2030年11月(初回見直し)の返済額(据え置きシナリオの推移どおり)150,537円
総利息(野村證券シナリオ)7,457,556円8,066,390円
総利息(据え置きシナリオ)5,286,436円5,560,820円
金利上昇による純増分2,171,120円2,505,570円

元利均等+5年ルールの場合、初回の返済額は元金均等より13,000円近く低く、当初の負担感は軽く見えます。これが5年ルールの「安心材料」として語られる所以です。

しかし、金利上昇シナリオが実現した場合の「純粋な追加コスト」を比較すると、元利均等+5年ルールの方が約33万円多くなりました。理由は単純で、5年ルールは返済額を一定に保つ代わりに元金の減りを遅らせる仕組みであり、その間も利息は高い金利のまま、より大きな残高に対して発生し続けるためです。

下のグラフでは、同じ野村證券シナリオのもとで、元金均等(実際)と元利均等+5年ルール(仮定)のローン残高がどう推移するかを比較しています。


金利シナリオ別の月々返済額推移(上段)と、元金均等・元利均等+5年ルールのローン残高推移比較(下段)の2段グラフ

グラフの下段を見ると、元利均等+5年ルール(赤い破線)の方が、元金均等(紺の実線)よりも残高の減りが一貫して遅いことがわかります。返済額が変わらない安心感の裏側で、着実に「先送りされたコスト」が積み上がっているということです。

なお、今回の試算では未払利息(返済額が利息分すら払いきれず、元金が増えてしまう現象)は発生しませんでした。これは今回の金利上昇幅(0.834%→1.584%)が、当初の返済額に対してそこまで急激ではなかったためです。より大きな金利上昇が起きた場合は、未払利息が発生するリスクがある点は留意が必要です。


まとめ:返済方式別に整理すると

あなたの状況今回の試算との関係
元金均等返済を選んでいる金利見直しのたびに返済額が直接変動する。緩和措置がない代わり、長期的な総利息は元利均等より少なくなりやすい
元利均等+5年ルールを選んでいる当面の返済額は安定するが、金利上昇局面では「見えないコスト」が元金均等より大きくなる可能性がある。5年ごとの見直し時期は事前に把握しておきたい
これから住宅ローンを組む返済方式の選択は、月々の負担感だけでなく、金利上昇シナリオでの総コストの違いも踏まえて検討する価値がある
すでにローンを抱えていて不安があるまずは自分の契約が元利均等か元金均等か、5年ルールが適用されるかを確認することが最初の一歩になる

最後に強調しておきたいのは、5年ルール・125%ルールが「悪い仕組み」というわけではないということです。家計の急変を防ぐという意味では、明確なメリットがあります。一方で「返済額が変わらない=コストが増えていない」わけではない、という点は、変動金利を選ぶすべての人が知っておいて損はない事実だと考えます。

次回は、利上げが為替・米国株積立にどう影響するかを、同じく一次資料ベースで検証する予定です。前回の基礎解説記事もあわせてご覧ください。

【2026年6月】日銀の利上げ、結局生活に何が起きるのか?政策金利の基礎と波及経路を整理した
2026年6月、日銀は政策金利を0.75%から1.00%に引き上げました。なぜ利上げするのか、生活にどう波及するのかを一次資料ベースで整理します。

補足:数値の読み方について

本記事の試算は、筆者の実際の借入条件(借入額・現在の適用金利・最終返済期日)をもとにしていますが、借入開始日は最終返済期日からの逆算(26年・2025年10月27日借入開始)による推定です。また、金利見直しのタイミング(半年後の4月・10月反映)は一般的なケースを仮定したものであり、実際の金融機関の基準によって異なる場合があります。元利均等+5年ルールの試算は、同条件で借りていた場合の仮想シミュレーションであり、実在の借入ではありません。将来の金利シナリオはエコノミストの見通しに基づくものであり、確定した政策を示すものではない点もあわせてご留意ください。

データの出典

  • 三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい」よくあるご質問
  • 多摩信用金庫「『5年ルール』『125%ルール』とは何ですか」よくあるご質問
  • モゲチェック「住宅ローン変動金利の5年ルール・125%ルールとは?意味が無い?メリット、デメリットを解説」
  • 野村證券ウェルスタイル「日銀の追加利上げ予想」(森田京平氏)
  • 第一ライフ資産運用経済研究所「政策金利1.00%への引き上げ ~2026年6月の日銀金融政策決定会合~」(熊野英生氏)

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の選択やローンの借り換えを推奨するものではありません。住宅ローンに関する判断はご自身の契約内容をご確認のうえ、ご自身の責任でお願いします。

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