はじめに:「表面上の数字」に騙されていませんか?
新NISAの主役であるS&P500投資信託。 今、SNSやブログ界隈では「eMAXIS Slimより、楽天・S&P500の方が信託報酬が低い(0.077%)」という話題で持ちきりです。
確かに、パンフレット(目論見書)の数字だけを見れば楽天が最安です。 さらに、直近の運用報告書を見比べても、計算上の実質コストは楽天の方が安く見えます。 「データを見ても楽天が勝っている。乗り換えるべきか…」 そう悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、そのデータには「重大なタイムラグ」があることをご存知でしょうか?
今回は、多くの投資家が見落としている「純資産総額による自動割引」の最新データを加味して、コストを再計算しました。 すると、「王者eMAXIS Slimが、実は現在も単独最安である」という衝撃の事実が浮かび上がってきたのです。

検証1:運用報告書の数字だけを見ると…?
まずは、各ファンドが公開している直近の「運用報告書(決算書)」から、投資家が実際に負担したコスト(実質コスト)を計算してみます。
- 楽天・S&P500
- 信託報酬(実績): 0.077%
- 隠れコスト: 0.012%
- 合計: 0.089%
- eMAXIS Slim 米国株式
- 信託報酬(実績): 0.089%(※ここがポイント)
- 隠れコスト: 0.008%
- 合計: 0.097%
一見すると、「楽天 0.089% vs Slim 0.097%」で、楽天の勝利に見えます。 しかし、ここに数字のトリックがあります。

検証2:eMAXIS Slimの「0.089%」は古い数字
eMAXIS Slimの報告書に書かれている「0.089%」という信託報酬は、「まだ信託報酬が高かった時期」と「引き下げ後の時期」が混ざった平均値に過ぎません。
ご存知の通り、eMAXIS Slimには「純資産が増えれば増えるほど、手数料が勝手に下がる(受益者還元型)」という最強の仕組みがあります。 現在の目論見書ルールに基づき、純資産6兆円超(2026年時点)の規模で再計算すると、今の瞬間のリアルな信託報酬は「約0.077%」まで下がります。
これは、ライバルの楽天と完全に同水準です。
結論:隠れコストの差で「Slim」が単独王者
では、信託報酬が同じ(0.077%)なら、勝負の決め手はどこになるでしょうか? それは「隠れコスト(その他費用)」です。
運用報告書を詳しく見ると、運用のうまさや規模のメリットを示す「その他費用」に明確な差がありました。
| 項目 | eMAXIS Slim (現在推定) | 楽天・S&P500 (現在) |
| ① 信託報酬 (理論値) | 約0.077% | 0.077% |
| ② 隠れコスト (実績) | 0.008% | 0.012% |
| ③ トータルコスト | 約0.085% | 0.089% |
| 判定 | 単独1位 | 2位 |
ご覧の通り、規模で勝るeMAXIS Slimの方が、隠れコストを極限まで圧縮できています。 その結果、トータルコストではeMAXIS Slimがわずかに、しかし確実に「最安」の座を守っているのです。

まとめ:乗り換える必要なし
- eMAXIS Slimを持っている人: おめでとうございます。あなたのファンドは、自動割引機能によって現在も「世界最安水準」です。何もせずホールドしてください。
- 楽天・S&P500を持っている人: こちらも十分に優秀(誤差レベル)ですので、焦って売る必要はありません。
- これから始める人: 迷ったら、将来的なさらなる値下げも期待できる「eMAXIS Slim」を選んでおけば間違いありません。

コメント